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    「ほゝう!」

    「チブスじゃないです。医者は何とか言っていたですが、まあ看病疲れですな。」

    房一は立ち上つた。すると、着古しのワイシャツから下はズボンなしの毛むじやらな肥つた円つこい肉のついた脚がによつきりと出た。さつき河の中に入つたときに、ズボン下を脱いでしまつたのだ。

    房一は面喰つて、ぽかんと口を開けた。

    房一は、行儀よくまだ冠を頭にのつけたまゝの小谷と練吉と並んで板切れの上に坐つていた。

    あのことだな、と房一は思つた。訊いてどうかな、とは感じたが、相手があまりさつぱりしているので、

    それに、茂子がこんな風にひよいと家を出て実家へ帰つたまゝ、十日も二十目ももどつて来ないなんてことは、別に珍らしいことでもなかつた。たゞ、この半年ばかりは落ちついていたのである。もう慣れつこになつている。そのうち又舞ひもどつて来るだらう。来なければ来ないで、それでもちつとも差支へはない。要するに、どうでもよかつた。居ない間が気楽といふものだつた。

    「それで――?あゝ」

    彼はそれを云ひに来たのだつた。

    「三人どころぢやない、五人も十人もある」

    練吉は軽く頭を下げながら、相手の房一がいきなり直立不動のやうに足をそろへたのを見た。

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